知らない人に警戒心を持つ犬

by admin

例えば知らない人に警戒心を持つ犬がいたとしましょう。仮の名をポンタとする。ポンタは、食器に誰かが近づくと固まってしまうという大きな危険要因を抱えています。

また飼い主の目から見ても、昼間よりも夜間のほうが不安を感じやすく、人が手を差し出したり、近づいてきたりするとやや緊張する傾向があります。なお人の手を嫌がったり、誰かが近づいてくると緊張するというのは、どの犬にも多かれ少なかれ見られる傾向です。

ある日見知らぬ人がポンタをなでようと手を差し出して、噛みつかれるという事故が起こりました。ポンタはこれまで人に噛みつくことはもちろん、うなり声を上げることさえなかったため、飼い主はひどく混乱しました。

しかも飼い主の見る限りポンタが挑発された様子は全くなかったのです。しかしポンタのプロフィールを見れば、この犬が時限爆弾を抱えており、今回それが不幸にも爆発したのだということがよく分かります。

ポンタのように、うなり声を上げる、空噛みをする、実際に噛みつくといった行動の臨界点が近接している場合、その攻撃行動は「突然、何の前触れもなく」起きたように見えてしまうのです。このような犬の場合は、うなり声を誘発する刺激が、すぐに噛みつきの臨界点にまで達してしまうのです。

また、何の前触れもなかったというのは間違いで、ポンタが危険要因を抱えていたことを考えると、この犬がいつか人を噛むことは予測できることでした。

飼い主はただ「良い犬は噛まない」という思い込みに捕らわれていただけであり、もし食事中に見知らぬ誰かが近づいていたら、ポンタは間違いなくその相手に噛みついていたはずです。それでもポンタが良い犬であることに変わりはないのです。

柴犬の飼い方・育て方・しつけ